2025年01月28日

アサギマダラ追憶3

  アサギマダラよ、いまどうしている。  
 私が勧めた宮古島の住み心地は良いか。

  お前と出会ったのは去年の夏、の故郷蒜
 山への単独山行での出来事だった。荒い息
 とともに登ってゆくと、お前はひらり、ひ
 らりと眼前に舞い込んできた。あつ、アサ
 ギマダラだ。
  
  お前数メートル先のフジバカマの花枝に
 羽を休めた。飯豊連峰あたりから飛び立ち
 ゆうに千キロを飛んできたお前は疲れてい
 たのだろう、花枝にぶら下がって羽根を折
 りたたみ、浅葱の文様のなまめかしさを惜
 しげもなく晒していた。尾根の上手に回っ
 た私は直下に広がる薄緑の高原の村を背景
 にアサギマダラを浮き上がらせてシャッタ
 ーを切った。
  
  その時アサギマダラは独りだった。その
 後アサギマダラは中国山地の山々を縫うよ
 うに飛び、海を越えておそらく宮古島に降
 りた。
  
  秋が来て冬も過ぎようとしている。アサ
 ギマダラよ、お前は何処にいる。いまだ一
 人暮らしなのか。体は癒えたか。私が勧め
 た宮古島の海辺の洞窟はどうだ。住み心地
 はいいか。

  アサギマダラよ、暖かくなったら日本に
 帰ってきておくれ。飯豊連峰だけでなく、
 わがふる里蒜山高原も良き身過ぎの出来る
 居場所になるに違いない。
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posted by kanda minoru at 14:35| Comment(0) | 現代詩 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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