2025年01月10日

ひかりの静けさ

  白い髯が伸び足腰がふらつくようになって、
 この冬から何故か私は二階の部屋で寝るよう
 になった。3日目の朝だった。カーテンの隙
 間から射す柔らかだが力を感じさせる光が静
 かに流れているのを見た。
 私は窓辺に移動してカーテンを開けた。 
 およそ1キロはあるであろうか、遠くうかぶ
 朝の町の、ある距離から先は三角の屋根やビ
 ルの林立がいくつも重なり、それらが乳白色
 を溶かしたような白の世界に消えていってい
 た。
  この窓辺から見る朝焼けはこの家に住むよ
 うになって40年ぶりに遭遇した。真っ白の
 雲には紅のほか空の色も色を添えている。こ
 んな光景がお天気のいい日には過去毎日のよ
 うに出現していたのだ。
  しばらくすると左右に広がろうとする雲の
 下方からうすいピンクがしだいに大きくなり、
 さらにその下には雲を押し上げるような力が
 働いて、朝焼けははち切れんばかり、そして
 少しづつ、少しづつ明るくなるのである。や
 がて雲は大きな紅の色になるのだが、その間
 のすべての空間は森閑として光はたとようも
 なく静かである。
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posted by kanda minoru at 18:19| Comment(0) | 現代詩 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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