この冬から何故か私は二階の部屋で寝るよう
になった。3日目の朝だった。カーテンの隙
間から射す柔らかだが力を感じさせる光が静
かに流れているのを見た。
私は窓辺に移動してカーテンを開けた。
およそ1キロはあるであろうか、遠くうかぶ
朝の町の、ある距離から先は三角の屋根やビ
ルの林立がいくつも重なり、それらが乳白色
を溶かしたような白の世界に消えていってい
た。
この窓辺から見る朝焼けはこの家に住むよ
うになって40年ぶりに遭遇した。真っ白の
雲には紅のほか空の色も色を添えている。こ
んな光景がお天気のいい日には過去毎日のよ
うに出現していたのだ。
しばらくすると左右に広がろうとする雲の
下方からうすいピンクがしだいに大きくなり、
さらにその下には雲を押し上げるような力が
働いて、朝焼けははち切れんばかり、そして
少しづつ、少しづつ明るくなるのである。や
がて雲は大きな紅の色になるのだが、その間
のすべての空間は森閑として光はたとようも
なく静かである。

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