2024年12月31日

ドバトと私

  年の暮れの三十一日、特別な日でもないの
 に朝の散歩の途中、自分の過去を振り返って
 みた。きっかけになったのは、昨日あたりか
 ら自家の周辺に数十羽の土鳩が飛来したこと
 による。
  食べ物には事欠かない繁華街で生活してい
 た土鳩は年末年始の休みに対処して郊外の刈
 田の落穂を狙って移動してきた。私は畦道に
 腰を下ろし土鳩の群れが集団で飛ぶ様子を眺
 めた。
  数十羽が低空ではたはたと舞ったかと思う
 と次には急滑降で刈田に降り、うち数羽は餌
 を見つけられずばたばたとしている。しばら
 くすると土鳩たちは一心に嘴を打ちつける。
  土鳩は過去の経験をよく覚えている。それ
 は先祖から身に染みるように伝えられ、教え
 られ習性になったのだろう。
  そんなふうに思ったが、私にはそのような
 ものはありはしない。そう、私の過去は空っ
 ぽなんだから。
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posted by kanda minoru at 14:29| Comment(0) | 現代詩 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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