に朝の散歩の途中、自分の過去を振り返って
みた。きっかけになったのは、昨日あたりか
ら自家の周辺に数十羽の土鳩が飛来したこと
による。
食べ物には事欠かない繁華街で生活してい
た土鳩は年末年始の休みに対処して郊外の刈
田の落穂を狙って移動してきた。私は畦道に
腰を下ろし土鳩の群れが集団で飛ぶ様子を眺
めた。
数十羽が低空ではたはたと舞ったかと思う
と次には急滑降で刈田に降り、うち数羽は餌
を見つけられずばたばたとしている。しばら
くすると土鳩たちは一心に嘴を打ちつける。
土鳩は過去の経験をよく覚えている。それ
は先祖から身に染みるように伝えられ、教え
られ習性になったのだろう。
そんなふうに思ったが、私にはそのような
ものはありはしない。そう、私の過去は空っ
ぽなんだから。

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